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※挽いた豆(粉)をご注文の方は、必ず備考欄へのご記入をお願いいたします。併せてお使いの器具の名前をご記入いただけましたら、それに合わせた挽き方でご用意いたします。

 

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Black Package Lot 032《Um Dark Room》

 

【INTRODUCTION】
生産国:ブラジル
生産地:ウム農園
生産者:ステファノ・ウム
標高:1,200m
品種:ピンクブルボン
精製:ダークルームナチュラル

 

カップの印象
ドライプルーン、ザクロ、チョコレートティー

 

ファーメンテーションと緻密なドライングによる唯一性の高いフルーティカップ。WBC2023にて使用されたロットの最新クロップ。その独自の魅力を。

 

【INFORMATION】
今年の3月に、SYU-HA-RI COFFEE IMPORTERSの計らいによって実現したUM COFFEEのカッピング。ブラジルでスペシャルティコーヒービジネスを展開し、世界一のバリスタ(コーヒーマン)を決めるWorld Barista Championship2023で優勝の栄冠に輝いたボラン・ウムが来日。ステファノ・ウムが生産する数々のロットを、ボランさんとともにカッピングする機会があり、このコーヒーのストーリーをダイレクトに聞くことができました。
彼らがバリスタチャンピオンシップを経過点にとらえて取り組むのが、ブラジルコーヒーの可能性の周知と、その価値向上のように感じます。事実、比較的低標高(コーヒーの有名産地の中では)のエリアでコーヒー栽培がおこなわれる南米ブラジルにおいては、中米のパナマやボリビア、アフリカのエチオピアなどのコーヒーに比べて、果実味に富んだコーヒーを見つけることが難しいです。個性があり、クリアーなコーヒーが好まれる傾向にあるコンペティションのような場面でも、なかなか脚光を浴びることの少ない生産国の一つである印象がありました。そんななか、ボランさんが世界大会の決勝で提供したコーヒーは、自身の運営するブラジルの農園のピンクブルボン種。パナマの有名な農園のゲイシャ種とのブレンドで提供されはしましたが、それでも、農園とバリスタ、そして産地を超えた生産者同士の知見の共有が、どれだけコーヒーの可能性を押し広げるかを、自らがフロントマンとして表した舞台となった瞬間でした。
今回ご紹介するのが、同じプロセスによって精製されたピンクブルボン種。ウム農園のカテゴリにおいても『コンペティションシリーズ』と区別されるロットの最新クロップです。精製が独自の過程をたどっているので、焙煎する身にも、どうやってアプローチするものか、なかなか新しい感覚がありました。
プロセシング(精製乾燥)の方法は、ボランさんが大会にて厚い信頼を置いていたパナマの農園主の手法から。普段から様々な品種の生産や精製に関わっていたボランさんが、新たな可能性を求めて世界を見て回る中で、最終的に大きなインスピレーションを得たのがポストハーベストであるダークルームでした。簡単に言えば、暗室内での乾燥。室内の温度や湿度を完全にコントロールできる暗室の中で、果肉由来のネガティブな影響を排除した形で行われる長時間の乾燥。カップにまだ見ぬ可能性を生み出します。
通常、天日乾燥が行われるブラジルの乾燥プロセスは、日光や気温、湿度の影響を複雑に受けながら、最終的なカップを形成していきます。天候による影響を受けることで、ある程度の変数が存在していて、そのクオリティは熟練の判断によって調整されるのですが、それでも目に見えない複雑な反応が連続的に発生しているのが、そのチェリーの内部の出来事というわけです。時にはポジティブな影響を及ぼし、一方で失われる要素や、ネガティブな影響も想定できるのが、自然環境下での乾燥です。
彼ら(ダークルームを使用する生産者)が行うのは、その条件をコントロールしながら、日照や光による影響も排除すること。自然とは異なる環境下で、選択的に反応をコントロールして、本来獲得せずに失われていたチェリー由来のキャラクターをキャッチすることでした。
プロセスは次の通りに行われます。まず、収穫後のチェリーを水の入ったタンクに入れ、24~27℃の特定の温度条件下で嫌気性発酵を行います。発酵にかける時間は72時間。発酵を終えたコーヒーチェリーはアフリカンベッドに移され、最初期の乾燥を行うために3日間の天日乾燥へ。この時の太陽光の照射は50%になるように、時間とシェードを調整するそう。
水分値が一定以下になったことを確認したチェリーはダークルームへ。暗室内は温度18℃、湿度45~50%に管理されていて、ここでの乾燥期間は45日間です。2時間ごとに攪拌が行われ、棚のように積まれたアフリカンベッドは、常に暗室内で管理されます。
細菌や発酵についての知識は、日本人もなじみが深いものですが、こうしてブラジルのコーヒーの生産現場においても、様々なアプローチが行われていることを実感します。ポストハーベストの手法は複雑化していて、なかなか個々の現象を理解するのは難しいことが多いですが、確かに私たちが手にするカップにもその流れが届いていて、現代のリーダーが表現するかたちも、このように味わうことができる距離感が実現しました。
画一的なイメージで各生産国のコーヒーを語るのではなく、そのロットのディティールをつかむことで見えてくる新しい側面は、どこまでも嗜好品的なコーヒーの、特にスペシャルティコーヒーにおける最もエキサイティングな出会いの瞬間です。彼らのチャレンジがまたその流れをかたちつくり、まだ見ぬブラジルコーヒーへの期待へと膨らんでいくことを、私たちは心から楽しみにしています。そしてなにより、このような出会いの最後のパッサーとして、よりよい状態の焙煎豆とカップを仕上げることに、ボランさんのクラフトマンシップ(そしてフロントマンシップ)をできる限り享受しようと我が身を正すばかりです。

Stefano Um-Um Competition Series/Pink Bourbon/Dark Room Natural(Brazil)

価格¥2,700より
消費税込み
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